今日は敏腕新聞記者の方と「経団連の就職協定」についてお話しした。経団連の就職協定は、誰の得にもなってない。寧ろそれに従った企業も大学も学生もマイナスが多い。以下、理由。
<現状>
・就職協定は12月から採用マーケティングが解禁となり、4月から本採用が開始される。ポイントは、実質的な「選考期間」は12月〜3月の期間であり、このShopping PeriodでOBOG訪問や、ワークショップなどを通じて学生は「評価・評定」される
・大手企業は4月1日に内定出しを行うところが多い。つまり、3月31日までに実質的な「本採用」は終わっている
・商社が最後に「オイシいところ」を総取りしていくゲーム。他企業は出来るだけ早く内定出しをして、囲い込みを始めたい
・かくいう商社も、4月に入り10日くらいで採用を終える。つまり4月2週目には殆どの企業が本採用を終えている
・繰り返す。実質的な「本採用」期間は12月〜3月の4ヶ月である
・学生は12月から会社説明会がスタートする、と「誤解」している
・12月から始まるのは、会社説明会ではなく、「本採用」である
・12月から就職活動を始めればイイと思っている学生は、圧倒的に準備が足りていない状況
・そこで優位性があるのは、外資や非経団連企業でインターンや面談などを春・夏で経験してきた学生である
・12月から就職活動を始めた学生は、その「差」に愕然とする
・面接でもグループ・ディスカッションでも圧倒的に話せない自分に気がつく。圧倒的な準備不足に後悔し始める
・結果として、日本の就活での勝ち組は「春から就活活動を始めた層」である
・東京の学生でもスタートが遅い学生や地方学生は不利な状況であり、その差を「4ヶ月で」覆すことは出来ない
・「グローバル」x「リーダーシップ」が高く評価されると気がついた時にはもう遅い。学生時代何もやってなかったと、超絶後悔する
・結果として、学生は「話を盛り始める。」そのようなウソは2秒で見破られ、就職活動を不満足なカタチで終わる
<来年からは?>
・来年からは採用マーケティング開始時期が、4ヶ月後ろ倒しになる
・4月から会社説明会スタート。8月から本採用というスケジュール
・大学は就職活動が学業の妨げになると文句を言ったはず
・だが、4月〜7月に採用活動がズレたせいで、思いっきり「学業」と「就活」がかぶる
・今までは2・3月は「春休み」だったのに、今回は4-7月は「学期中」となり、更に学校に学生は来なくなる
・外資やベンチャー等「非」経団連企業は、変わらず大学3年生の春から採用活動を始める。優秀人材はここで採用されていく
・経団連企業は、協定をきっちり守ってくれる感度の低い学生のみが集まる場になっていく
・「大企業の言う事をちゃんと聞いてくれる人材」のみが大企業に並び、イノベーションを生み出しうる感度の高い学生は経団連企業に来ない
・大学は更に、文句を言う
・経団連企業には、いい人材が集まらない
・就職協定を「信じた」学生は、就活で苦労する
もう永遠に言いたいことが続きそうなので、一度ここでやめる。。
ご覧のとおり、「企業」も「大学」も「学生」も誰も得をしない。それが経団連の就職協定である。
今の日本に必要なのは世界でイノベーションを起こせる人材を育成し、活用することである。
そのためには欧米のように大学1年から学業に加えてインターンを実施し、リアル社会の厳しさを教えていく必要がある。その学びがまた学業に反映されていく循環を創るべきだ。日本企業は「ルールを決めない」という意思決定をすべきである。さもなければ、優秀人材はどんどん日本企業から離れていく。元マッキンゼー日本で働き、MBAを卒業した人たちが今いる場所は「サンフランシスコのGOOGLE」である。
企業・大学・人材の、完全二極化の時代が来る。
経団連のような護送船団のやり方は、もう日本の国益に資することはない。
本気で日本の未来を考え、行動して欲しい。